式典での挨拶

   ホーム  >  式典での挨拶  >  令和3年度 卒業証書授与式 式辞

令和3年度 卒業証書授与式 式辞

最終更新日 [2022年3月1日]  

20220301_web
 プラタナスの木が芽吹き始め、心地よい風が春の訪れを告げる、今日の佳き日、福岡県教育委員会をはじめ、御来賓の御臨席のもと、福岡県立筑豊高等学校 第73回卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生・職員一同、誠に光栄であり、心からお礼申し上げます。
 ただいま、131名の皆さんに栄えある卒業証書を授与いたしました。 
 御卒業、おめでとうございます。
 私は皆さんが入学した年に、本校の教頭として赴任しました。入学式の際、皆さんの緊張した面持ちを見て、皆さん一人ひとりにとって、この筑豊高校での日々が素晴らしいものになるよう、祈るような気持ちであったことがつい、この間のような気がします。
 その日から早三年、在学中は、楽しいことや良いことばかりではなく、つらかったこと、悩んだこともたくさんあったと思います。特に、誰もが想像していなかった新型コロナウイルス感染症拡大のため、3カ月に及んだ臨時休業、体育大会の中止、文化祭は内容を変更しての実施、そして高校生活の一大イベントである修学旅行も中止を余儀なくされました。
 そのような困難な中でも、皆さんは自分たちで「できる何か」を考え、最上級生としてリーダーシップを発揮し、自分たちの成長の証(あかし)を発揮する場を作り、学校を盛り立ててくれました。先日も生活デザイン科の「家庭科四冠王 取得者数日本一の表彰」や商業科の「地域探求プログラムの全国金賞の受賞」は、皆さんの最後を締めくくるにふさわしい功績であり、学校はもとより地域、県下の方からたくさんのお褒めのことばをいただき、校長として大変誇りに思います。このコロナ禍の一つひとつの経験が、これからの皆さんの人生において大きな糧となることは言うまでもありません。

 そこで、卒業にあたり、ぜひ皆さんに忘れないでほしいことがあります。
 皆さんに授与しました卒業証書の右肩に、番号が記されています。その番号はこの世の中でたった一つの皆さんだけの番号です。本校の113年の歴史の中の唯一の番号なのです。 
 そして卒業証書と書かれたその横に、皆さんの名前と生年月日が記されています。その名前こそ、世界で唯一のものであることを、卒業する今、しっかりと実感してほしいのです。
 皆さんがこの世に誕生したその日に、皆さんがこの世に生まれてきてくれたことを、誰よりも祝福し、喜んでくださった保護者の方々が、皆さん一人ひとりに授けたもの、それが皆さん一人ひとりの名前であるということを忘れないで欲しいと思います。ですから、その卒業証書はこれまで皆さんを陰になり、日向になって見守り、献身的に支えてくださった保護者の方々の歩んでこられた証(あかし)でもある、ということに気づいていただきたいと思っています。
 そして、卒業証書の中程に、皆さんがこの3年間で修了した学科の課程が記されています。
 総合ビジネス科、ビジネス情報科、生活デザイン科。皆さんは他の学校では決して学ぶことのできない、人が豊かにたくましく、生きていくための専門的な知識と技術を、この3年間で身につけてきました。そして実習を通して学んだ、「人と協働することの大切さ」、「人を思いやる心」、「人に感謝する心」は、どのような時代であっても、それを乗り越える十分な資質となって皆さんの中に蓄積されているはずです。そのことに自信を持っていただきたいと願っています。

 科学技術は、我々の想像を絶する目覚ましいスピードで進歩しています。それに伴い、経済構造や社会構造も大きく変化しはじめ、様々な考え方や価値観が同時に存在する、極めて複雑性に富む社会となっています。そのような中、卒業生の皆さんには、まずはこの多様な考え方や特性を認めあい、他者を「尊重」するという、異なるものを受け入れる「柔軟性」を備えてほしいと思います。

 ある貝の話をします。その貝は、いきなり小石や砂などの異物を内に抱える(かかえる)ことになります。その貝は、殻の内側と同じ成分で異物を抱み(つつみ)ながら、体の一部にしようとします。そしてその変化、適応の先に、その貝は私たちが呼ぶところの「真珠」を創り出していきます。
 多様性にあふれる現代社会では、この真珠貝のように、異なるものは排除するのではなく、逆に取込んでいくという、「心の柔らかさ」をもつことが大切です。皆さんには、新たな変化を受け止め、試行錯誤しながら、自分色の輝きを放つ「真珠」を多く創ってもらいたいと思います。自分とは違う価値観に思いを巡らせ、理解しようとする「多様性」を認め合う先にこそ、彩り(いろどり)に満ちた社会の実現があると信じます。

 終わりになりましたが、保護者の皆様には高いところからではございますが、一言お礼を申し上げます。
 お子様の御卒業、誠におめでとうございます。今日まで、育ててこられた御苦労を思い起こされ、感慨もひとしおのことと推察いたします。また入学以来、本校教育に深い御理解と並々ならぬ御協力を賜り、ありがとうございました。お子様は本日をもちまして、卒業していかれますが、今後とも末永く本校に御縁をいただきますようお願い申し上げます。
 それでは、卒業生の皆さんの洋々たる前途を祝し、これからの人生に幸多からんことを心から祈念して、本日の式辞といたします。
 
令和4年3月1日
  福岡県立筑豊高等学校  校長 大石  政男

※資料としてPDFファイルが添付されている場合は、Adobe Acrobat(R)が必要です。
 「アドビリーダーダウンロードボタン」をクリックすると、アドビ社のホームページへ移動しますので、お持ちでない方は、手順に従ってダウンロードを行ってください。
アドビリーダーダウンロードボタン
(新しいウィンドウで表示)
 戻る ホーム
福岡県立筑豊高等学校〒822-0002福岡県直方市大字頓野4019-2
Tel:0949-26-0324 Fax:0949-26-0847
福岡県立筑豊高等学校
〒822-0002福岡県直方市大字頓野4019-2
Tel:0949-26-0324  Fax:0949-26-0847
Copyright(C)2009 Chikuho High School. All rights reserved